約 3,455,875 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/285.html
せつながラブと同じ中学に入学し、ラブがみんなにせつなを紹介する。 群がるクラスメートに戸惑うせつな。フォローするラブ。 そんな感じでラブはせつなにつきっきり。 「おいラブ。今日の約束忘れてねーだろうな。」 「はいはい、わかってるって。でね、せつなは・・・。」 「ホントにわかってんのかよ・・・。」 案の定大輔との約束を忘れ、せつなと帰宅するラブ。 次の日、怒ってラブに詰め寄る大輔。 タハハ忘れちゃった~と笑うラブにぶち切れ、もういいと出て行く大輔。 「あ、待ってよ」 大輔を追いかけるラブ。 何だかんだで仲直り。 「ごめんね、大輔。(せつなー、どこ行ったの?)」 「もう約束、忘れんじゃねーぞ。」 それを物陰から暗い目で見つめるせつな。 大輔と親密に話すラブを見て、せつなは胸が苦しくなる。 ついラブを避けてしまい、二人の間には気まずい雰囲気が流れる。 (私、どうしたらいいの?この胸の痛みは何?) (せつな、どうして私を避けるの?あたしのこと、嫌いになっちゃったの?) すれ違う二人。 せつなはラブの前で涙を流す。 「ごめんなさいラブ。ラブが他の子と仲良くしているのを見ると、どうしても我慢出来なくなるの。 おかしいよね、こんなの。私、どうしちゃったんだろ・・・。」 「せつな・・・!」 お互いの存在がどれだけ大切か、離れていた時間が教えてくれた。 抱き合う二人。重なる唇。 その夜・・・ラブの部屋で。 「ラ、ラブ。こ、これでいいの?」 「うん。とってもキレイだよ、せつな。」 「や、やだ。恥ずかしいからあんまり見ないで。」 「だって~。せつな、とっても可愛いんだもん。もっと恥ずかしがるせつなの顔、見たいな。」 「も、もう!ラブったら!」 「・・・好きだよ。せつな。」 「ラブ、わ、私も・・・。んっ・・・あ!」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/655.html
早朝のまだ冷たさの残る空気の中を走る。 最初は足も体も重くって。あっという間に息が上がり、心臓が悲鳴をあげる。 でも、必死に走る。大きく腕を振って。足を遠くに踏み出すように。 だんだん、まとわりついていた空気が軽くなる。 汗と一緒に体と心に淀んでた澱が流れていく。 不思議。背中に羽根が生えたみたい。 どんどん進む足に任せてスピードを上げる。 どこまでも、行ける気がした。 ひょっとしたら、せつなのいるラビリンスまで。 まあ、そんな気になっただけで本気じゃないけどね。 でもやっぱり鈍ってた体はそうそう言うことを聞いてくれなくて。 家に戻る頃には心臓バクバク、汗はダラダラ。 思わず玄関でへたり込んでしまった。 (ダメダメ!まだやる事いっぱいなんだから。) シャワーを浴びると、かなりシャッキリ! 体は疲れたけど、やる気は充分。当分は筋肉痛に泣きそうだけど。 (さて……、と……) 両親の寝室に忍び込み、お母さんの目覚ましを止める。 お父さんも時間差で目覚まし付けてるから朝寝坊の心配はない。 一人、台所に立って朝食の準備。 せつながうちに来たばかりの頃、落ち込んでるせつなを少しでも励ましたくて こうやってスペシャルモーニング用意した事があったな。 ふっ…、と頬が弛む。 もう、せつなを思っても苦しくはならない。 だって心はずっと繋がってたんだから。 また電話もメールも出来るようになった。さみしくなんか、ない。 嘘………。さみしいのは、変わらない。 でも……、我慢出来る。 せつなが頑張ってるんだから。 あたしも、もうメソメソしたりはしないんだ。………なるべくは。 出来上がった朝食をテーブルに並べる。 仕上げに、ちょっと恥ずかしいけどオムレツにケチャップで お父さんとお母さんの似顔絵を描いた。 若干、崩れ気味なのはご愛嬌。 「アラヤダ!どうしちゃったの?ラブったら!」 「たはぁ~…、ちょっとねぇ~。」 目覚ましが止まってるのに気付いたのか、慌てて起きてきたらしいお母さん。 まだパジャマのままだ。 テーブルに並んだ朝食を見て目を丸くしてる。 「まあ!すごいじゃない。どうして?」 「あは…何か、早起きしちゃったもんだから。」 「……ちょっと早いけど、お父さん起こしてきましょうか。 折角だもの、温かいうちに食べなきゃね。」 お母さん、嬉しそう。 いそいそとお父さん起こしに行った。 ごめんなさい。ずっと心配してくれてたんだよね。 あたし、元気もやる気もなくて。 朝寝坊で学校遅刻したり、補習ばっかだったり。お手伝いもなんか、手抜きで。 でも、お父さんもお母さんも一度もあたしの事叱らなかった。 もどかしかっただろうな。歯がゆかっただろうな。 でも、信じてそっとしておいてくれてたんだよね。 本当にごめんなさい。そして、ありがとう。 あたし、もう大丈夫だから!いつもの元気いっぱいのラブに戻れるからね! 「うおっ!これはどうした?!」 着替えを済ませたお母さんが、まだ寝ぼけ眼のお父さんを引っ張ってきた。 やっぱりお父さんも目を丸くしてる。 テーブルを見て一瞬で目が覚めたみたいだ。 「「「いただきまぁ~す!」」」 「おっ、ラブ!このオムレツ美味しいなあ。」 「本当。ラブも随分上手になったわ。」 「えへん!!」 自分で作って言うのも何だけどこんなに美味しいご飯、本当に久しぶりだ。 お父さんもお母さんも笑ってる。もちろん、あたしも。 空腹は最大の調味料って言うけどさ、それだけじゃないね。 笑顔だって大切な調味料。 どんなに美味しい物も、食べる人が笑顔にならなきゃ美味しさ半減。 「でも本当にびっくりしたわ。何か良い事でもあったの?」 「あー…実は、ね…」 ガチャン!! せつなから電話があったんだ…。 そう言った途端、お父さんもお母さんもスプーンをお皿の上に落とした。 目を見開き、口をポカンと開けて固まってる……。 (……あ、ヤバい。) 「どうしてお母さんを起こさないの!!!」 「なんでお父さんに言わないんだ!!!」 同時に叫ばれ、和やかな朝食風景は一転してちょっとした パニック状態に陥った。 本能的に危機を感じ取って口は慌てて言い訳を並べる。 電話って言っても電波状況を調べるのにちょっと掛かってきただけだから! そんなに長話してないから! (ごめんなさい、本当は明け方まで話してました。) ほんっとに真夜中で、せつなもまたちゃんと掛け直すって言ってたから! (これは本当。いつ、とは約束出来ないけど。) 嫌な汗をダラダラ流しながら、何とか冷たい視線に耐える。 お母さんは涙目になってるし、お父さんは「ヒドイ娘だねぇ。」 なんて、わざとらしい上目遣いで見てくるし……。 ああん、もう!ゴメンナサイってば! ひとしきり恨み言を聞き、しゅんと項垂れ反省ポーズをした後、 おずおずと本題を切り出す。 「あの……、それでね。せつなからメールが来てるんだけど……」 お父さんとお母さんに…、 と言い終える前に、またステレオ放送で叫ばれる 「なんでそれを早く言わないんの!!」 「なんでそれを早く言わないんだ!!」 さすが夫婦。息ぴったりだね……って、一言も口挟ませてくれなかった癖に。 でも、うん。これはわたしが悪いよね。 もう少し、報告の仕方を考えるべきだった。ごめんなさい。 あたしだって、もしお母さんにせつなから連絡があったのに取り次いでも くれなかったら相当ショックだもん。 「ちょっ!待った、転送!転送するから待って!!」 今にもリンクルンを奪い取らんばかりに迫って来る二人を 何とか制する。 転送完了すると、二人とも睨み付けんばかりに携帯を凝視している。 お母さんが、堪えきれなくなったようにワッと泣き出した。 お父さんの目がみるみる真っ赤になり、鼻を啜り上げている。 二人は随時長い間メールを見つめていた。 お母さんは携帯の画面を愛しそうに指で撫でている。 携帯を交換して、また読み返す。 あたしは中身は見てないけど、かなり長文だったはずだ。 書いてある内容は多分そんなに変わりはないんだろう。 それでもせつなは本文を使い回したりせず、それぞれに メッセージを書いたんだろう。 「……せっちゃん、元気なのね……。よかった……。」 本当によかった。 そう言って、お母さんは携帯を胸に押し付ける。 どうやらラビリンスからは「リンクルン」にしか電波は届かないみたい。 美希たんやブッキーには問題なく送れたけど、お母さん達には エラーが出て無理だったんだって。 ランニングから帰った後に届いたメールに、せつなから丁寧に お父さんとお母さんに言伝てるようにお願いメールが入っていた。 せつなの事だ。あたしには寝るように言っておきながら、 結局そのまま4人分のメールを打っていたんだろう。 何度も何度も読み返しながら。 思いが届くよう、願いを込めて。 眠る時間、きっとなくなっちゃっただろうな。 「あっ、いけない!もう出なきゃ!」 「あら、まだだいぶ時間あるじゃない。」 美希たんやブッキーからもメール来てたんだ。 登校前に待ち合わせしてるの。 ごめん、お母さん!後片付けお願いします。 あーあ、ホントはお皿洗いまで完璧にやるつもりだったのに。 やっぱあたしってどこか抜けてる。 大急ぎで身支度して玄関から飛び出す。 もう二人とも来てるかも知れない。 あたしは待ち合わせ場所に急ぎながら、思い出し笑いを噛み殺す。 美希たんのメール。意味は通じるけど誤字、誤変換だらけ。 よっぽど慌てて打ったんだろう。 ブッキーからは4件も来てた。 2件は空メール。1件は書きかけ。最後の1件は、登校前に会おう、って 内容の超簡単メール。 どうやらまともな文は打てそうに無いと諦めたらしい。 「ごめん、お待たせ!」 やっぱり二人はもう来てた。 二人の顔。ブッキーは顔がパンパンに浮腫み、いつものパッチリした 目が半分になってる。 美希たんは一見涼しい顔。 でもよく見ると目の縁が赤くなり、白眼も軽く充血してる。 多分、出る直前まで必死に冷やしたり目薬注したりしてたんだろう。 「ブッキー、結構スゴい事になってるね。」 「これでもマシになったの。目…開かなかったんだから。」 「もう!なんでラブが一番平気な顔してんのよ。絶対オバケみたいに なってると思ってたのに!」 「ふっふ~ん!残念でした~。」 泣きまくったけど、一汗かいてシャワーも浴びたしね。 お父さん達の様子見て、またちょっとヤバかったけど。 「ね。せつなもうすぐ帰って来られるって書いてあったけど。」 「うんうん。ねぇラブちゃん、本当に?ラブちゃんはお話したんでしょ? どうだった?元気だった?」 「頑張ってるみたいだよ~。でも、やっぱりこっちが恋しいみたい。」 ゆっくり歩きながら話す。せつなから聞いたラビリンスの様子。 せつながどんな仕事してるか、って言うのはあまり詳しくは聞かなかった。 多分聞いても分からないし、せつなも易しい言葉で簡単に説明してくれただけだった。 それでも大変な仕事なんだろうなって言うのは想像が付く。 余計な心配かけたくないって思ってる事も。 難しくても話して欲しい気もしたけど、電話出来る時間は限られてる。 聞いてもどうにも出来ない事より、せつなが話したい事を 話してもらった方がいい。そして、せつなが聞きたい事を話そう。 家族の事。友達の事。そして、あたしの事…だよね。 せつなが話したのは主に雑談程度の軽い愚痴、仕事以外の日常が中心だった。 ウエスターやサウラーを今は隼人、瞬、と呼んでる事。 ラビリンスの食事が美味しくなくてつまらない事。 どうやら、食に関してはかなり不満が溜まってるらしい。 せつなの溜め息混じりの声を思い出す。 あのね、不味い…って訳じゃないの。 栄養バランスは完璧だし、メニューもそれなりにあるしね。 はあ、私がすっかり贅沢になっちゃったのよ……。 そっちのご飯、美味し過ぎるの。お家も。お店も。 人間ってダメね…。一度レベルを上げちゃうともう戻せないんだもの……。 せめて自分で作れたらいいんだけど、自炊なんかする暇あったら 書類の一つも片付けろって感じだし………。 はぁああ~………。ハンバーグ、コロッケ、肉じゃが、それにドーナツ。 この話をしたら、美希たんもブッキーも大笑いした。 「何よ、せつなったらアタシ達より食べ物恋しがってんの?」 「せつなちゃん、そんなに食いしん坊だったっけ? ラブちゃんじゃあるまいし。」 「ねぇ、ひっどいよねぇ~。って!あたしじゃあるまいし、って どう言う意味よ、ブッキー!」 メール一通で何もかも変わった。ううん、元通りになった。 四人が欠けて三人、ではなく、三人と遠くにいる一人。 いつでも気持ちは一緒にいるんだ。体が、ここにいないだけ。 これからは、これが当たり前になるんだろうな。 三人で集まれば、いつもせつなの話からお喋りが始まる。 どんなメールが来たか。どんなメールを送ったか。 忙しいんだろうね。でもたまには声も聞きたいよね。 次はいつ帰ってくるんだろう。帰って来たら何して遊ぼうか。 ………こんな感じで。 「じゃあね!」 「また放課後ね。」 「ドーナツカフェに集合!」 手を振り、交差点で別れる。 そして、ふと、思う。 せつなとは離ればなれになった。 でもそれは、別に特別な事なんかじゃないのかも…って。 美希たんはモデルの仕事がどんどん増えてる。 ブッキーは獣医さんになる為に、勉強の時間が増える。 そして、あたしもダンスと受験。 これからは、三人で集まるのも減って来ると思う。 でも、何でだろう?不思議とさみしい気がしない。 (もう、分かってるもんね!) いつも一緒にいるだけがすべてじゃない。 会える時に、会える人に会う。 そして、会えない人の事を「頑張ってるのかな。」と、話す。 「またね!」と、別れる。次の約束なんかしない。する必要はない。 だって、分かってるから。 また会えるって。心はいつも一緒だって。 土に落ちた一粒の種が長く根を伸ばし、違う場所で、違う色の花を咲かせる。 でも、根っこは一つ。そうだよね。 全然平気って言えば嘘になる。 やっぱりさみしい。いつも一緒にいたい。みんなと。せつなと。 でも大好きって言う気持ちがあれば、離れている時間だって 宝物に出来る。 (そうだよね。せつな!) 全速力で走る。腕を振り、足を伸ばし、一歩でも遠くに。 風の匂い。空気の色。体を包む太陽の温もり。 今日一日のすべてを覚えておこう。 何もなくてもいい、でも毎日が特別な新しい日。 せつな、あたしも頑張るよ。 何一つ、忘れずに覚えておくから。 また、一緒になれる日まで。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1167.html
「うわーん・・・・・ひっく・・・・えぐ・・・・・」 ラブからの呼び出しで公園に来てみると、さっきから、この調子。 泣いてばかりで要領を得ない。ホント、何が言いたいんだか。 「ラブちゃん、そんなに泣いてちゃ分かんないよ。泣きやんで、ね」 泣いているラブと慰めるブッキー。 この光景、どっかで見たことある。って、何かある度にアタシやブッキーに泣きつくのは、いつものことか。 まあ、ラブが本当に落ちこんでいる時は食事も喉を通らないくらいだから、今回は軽症だって事なんだろう・・・多分。 いつもはラブにべったりくっついて離れない、せつなの姿が見えない。 もしかして、それが原因? 「ラブ、せつなは・・・・」 「せ、せつな・・・・せつながね・・・・・・うわーん」 「ラブちゃん、せつなちゃんがどうかしたの?」 「せつなが、せつなが・・・・ぐす・・・・」 だから、せつながどうしたのっていうのよ。 「せつなが実家に帰らせて頂きますって、昨日の夜・・・・ひっく」 「「はあ?」」 アタシとブッキー、随分と間の抜けた返事をしてしまったけど、それも仕方ないと思う。 だって、せつなの実家ってラブの家で、ラブの家にはせつなが住んでいる訳で。 えっとつまり、ラブとせつなは同居しているから、せつなには帰る実家などないはずなのだ。 説明している自分自身でもよく分からなくなってきたけど。 もしかして、ラブとせつなが喧嘩したのかしら。同居しているから、却って気まずくなるわよね。 それで、せつなが家出でも? 「せつながどこかへ家出でもしたの?」 「ううん、・・・今日、一緒に学校に行った・・・・・ぐす・・・」 再び泣きだしたラブをブッキーがなんとか宥めている。でも、なんとなく話は見えてきた。 せつなが突然実家に帰るって言い出したから、ラブがこうなったというわけだ。 だけど、二人が喧嘩している・・・・訳じゃないよね。 喧嘩しているんだったら、せつなからもアタシかブッキーに連絡が入るはずだけど。 本当に喧嘩しているというなら、心配なのはむしろ、せつなの方。 せつなの実家って良く分からないけど、桃園家に居づらいというなら、なんならアタシの家に来てもいいし。 とにかく、せつなを呼び出して、直接聞くのが早い。 リンクルンでせつなを呼び出そうとすると、ラブが必死に止めようとする。 「美希たん、ちょっと待って」 「ちょっと待ってって、このままじゃ埒が明かないでしょ」 「だって、せつなから別れようって言われたら、あたし・・・・・うわーん」 ・・・・ラブの涙腺は再び決壊したらしい。 数十分後、待ち合わせ場所にせつなが来た。 ラブがいると色々ややこしいというか、折角落ち着いたのにまた泣かれても困るので、別の所に移動させて。 ラブとは違い、外見上は普段のせつなと変わらない。 「せつな、単刀直入に聞くけど、ラブと喧嘩でもした?」 「ラブと喧嘩?」 せつなが不思議そうな顔をする。どうやら、ラブと喧嘩をしたという訳ではないらしい。 「だったら、何でラブに実家に帰るなんて言ったの?」 「ラブが浮気をしてるんじゃないかと思って」 「どうして、ラブちゃんが浮気をしたと思ったの?」 「だって、私が髪を切ったこと、ラブが気付いてくれなかったし」 「「はあ?」」 アタシとブッキー、随分と間の抜けた返事・・・・は前に言ったか。 髪を切ったことと浮気とどう結び付くのか分からないけど、というかその情報源、何処? ラブが浮気・・・ありえない。 せつなの一言でラブがあんだけ落ちこんでいるんだから、浮気の心配は絶対にないと思うわ。 それに、ラブとせつなは仲が良くって、人前でもいちゃいちゃする二人をいつも窘めているくらいだし。 何時の間にかラブがいて、誤解の解けた恋人同士、人目を憚らず・・・ だからそこ、人前でいちゃいちゃしない! 説明している自分自身でもよく分からなくなってきたけど、 ともあれ、ラブの心配もせつなの心配も杞憂だったってことだ。 心配して、損した。 はぁ~~ お腹の底から深い溜息が漏れてくる。 溜息をつくと幸せが逃げるっていうけれど、あの二人に振り回されて、どれだけの幸せが逃げていったのだろう。 まあ、せつなが来たことで、いっぱい幸せを貰ったからいいのだけど。 隣ではアタシと同じように、ブッキーが深い溜息をついている。 疲れた時には、甘いものが一番。 「帰り、カオルちゃんのとこ、寄ってく?」 「うん」 ラブとせつなの、甘い甘いノロケ話でお腹いっぱい。 だけど、甘いものは別腹、ってね。 了 ~おまけ 事件の真相~ その前日の夕方。 「おばさま、いつも、すみません」 「あらぁ、いいのよ。桃園さんちは家族同然だし、カットモデルなら大歓迎よぉ」 「ここにある雑誌、見てもいいですか?」 「いいけど、大人向けの雑誌よぉ」 「・・旦那の・・浮気・・・見破る方法・・・・・」 「恋人が自分のことに関心が無くなったら要注意よぉ、せつなちゃん」 「例えば、髪を切ったのに気付かないとかぁ・・・・・そんな時は、実家に帰るとか言ってぇ・・・・」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/893.html
一人今だにあたしに、えっちに何を求めているのかわからない人がいる。 高級マンションの一室。あたしはソファーに座っている。 向かいのソファーには清純派で売り出している人気女優。優雅に珈琲を飲んでいた彼女は挨拶のように軽く、とうてい日常会話ではでてこない言葉を口にした。 美希の自慰が見たい、と。 あたしはいつものようにゆっくり服を脱ぐ。彼女は自分のパーカーを脱ぐと残りは下着だけになったあたしに渡した。これを羽織ってしろということだ。 彼女はなぜかいつも自分の身につけているものを一つあたしにつけさせた。 「いいよ。はじめて」 ――――― 「ねぇ、あなたは満足するの?」 あたしはけだるさの残る体を隠そうともせずそう聞いた。 「私は美希が満足してる顔を見るだけで気持ちいいけど」 あたしには理解できないな。 彼女は隣に座るとあたしの髪を優しくといた。 「そういえば、トリニティのミユキちゃんからダンスを教わってるそうね」 「うん。どうかした?」 「彼女、女の子好きだよ。私の趣味じゃないけど。ちょっとよくない噂もあるから気をつけなさい」 「え?」 ミユキさんが?あたしは彼女に詳しく聞こうとしたがよくは知らないと言われてしまった。 あたしが彼女の胸に手を伸ばそうとしたらパチンと軽くはたかれた。 「人に触られるの好きじゃないの」 「よく女優できるね」 「演技はできるから」 変わってる。 「触らないでね。大人しくしてて」 彼女は自らも服を脱ぎ、あたしにまたがった。お互いの秘所が重なり合い卑猥な音が鳴った。 ほんとにあたしを見てるだけでもいいらしい。彼女はあたしと同じくらい濡れていた。 3時間ですごい金額だ。家に帰りお金を、隠してある箱にいれる。使いもしないのにたまっていく。箱は満たされていくのに反比例して、あたしの心は隙間が増えるようだった。 ダンス練習日。ラブとブッキーがささいなことで衝突してしまった。しまいにはミユキさんに散々注意され休憩中に二人とも別々にどこかへ行ってしまった。 少しだけ違和感を覚えた。ミユキさんの怒り方が公平じゃない気がして。 おろおろとしてるせつなの手を掴んでベンチへ向かう。少しほっとこうと思った。シフォンが遊び相手が戻ってきたと思って目を輝かせている。 自販機からミネラルウォーターとスポーツドリンクを買ってせつなの元へもどる。 スポーツドリンクを渡して隣に座った。 「ありがとう。あのさ……」 「今はそっとしとくしかないよ」 せつなが目をふせたので、そっけなく言ってしまった自分を反省して、せつなに話しかけた。 「青春だから」 「どういう意味?」 甘酸っぱいのさーと言ってせつなにもたれ掛かった。 シフォンがあたしとせつなの周りをふよふよ飛んでいる。ちょっと気が散るのでシフォンをつかまえ、ジャージを少し開けてシフォンの体をいれた。顔と手だけだした状態。シフォンは少しふて腐れたみたいだ。ぶーっと唸っている。 「うひゃあ」 情けない声をあげてあたしは飛び起きた。炭酸飲料の缶をあたしの首にラブが押し当てていた。 「ははー、美希たん変な声」 「ばかラブ」 「あのさ、あたしは平気だからブッキーの話聞いてあげて」 ころころと笑っていたのに真剣な顔になってあたしに言った。シフォンがはしゃぎだす。あたしは立ち上がってジャージを脱いだ。シフォンをタルトに渡して、ジャージをラブに投げた。 「暑いから持ってて」 ~side(S)~ 走っていく美希をラブは見つめていた。 「仲直りできそう?」 「どうかなー」 ラブは先ほどまで美希がいた場所に座る。ケンカしたとは思えないぐらい清々しい表情をしている。 少ししてどこかに消えていたミユキさんも戻ってきた。 「せつな、大好き」 「うん」 私もラブが好き。美希とブッキーも友達として好き。だから早く二人が仲直りできたらいいな。 少し沈黙が続いた後ラブが美希のジャージを見つめ口を開いた。 「これってさ美希たんなりの気遣いなんだよね。昔からさ、どっちかが淋しい思いしそうなときは自分の物渡すの。ちゃんと後でくるからねってことで」 「美希らしいね」 私は大事にされてるラブがちょっとだけ羨ましくなった。 「そのミネラルウォーターもねー」 「えっ?」 言われて気づいた。私の上のポケットには美希の飲みかけのペットボトルが入っていたのだ。 「美希らしい」 もう一度心からそう思った。 「いいわねー青春」 「ミユキさんも若いですよー」 「ラブちゃん達といるのは楽しいわ」 ミユキさんはラブの頭をぽんぽんと笑って叩いていた。 ~~~~~~~~ やっと追いついた。 「ブッキー」 「美希ちゃん?」 振り返ったブッキーは目を赤くしていた。とりあえず涙をTシャツの袖で拭ってあげるとブッキーは文句を言ってきた。 「……こういう時は手で拭ってくれるんじゃないの。せめてハンカチ」 「ハンカチ持ってないし、手だと拭いきれない。鼻はかまないでよ」 あたしが笑いながら言うと、かまないよとブッキーは苦笑した。 「ラブちゃん怒ってる?」 「ラブが行けっていったから大丈夫じゃない?」 そっかぁとブッキーは視線をあげた。ラブとブッキー。 あたしとラブの場合だと『衝突』して言い合いになって疲れて仲直り。これもケンカかぁ。 あたしとブッキーは……ケンカしたことあったっけ? ブッキーは美希ちゃんが言うことが正しい、危ない雰囲気になるといつもそんなことを言ってたっけ? あたしはその言葉に納得いかない気持ちで一人で腹を立てていたと思う。ケンカしたいわけじゃない。気持ちがちゃんと伝わらないことが悔しかった。 この時あたしは、あたしに対するブッキーの態度は、ラブとは性格が違うからそんなものなのかなと思っていた。 「仲直りできそう?」 気づくとあたしはブッキーを抱きしめていた。うんってブッキーが小さくつぶやいた ブッキーにTシャツを濡らされながら、あたしはこの間のせつなを思い出して微笑んだ。 ブッキーを、皆をちゃんと支えてあげなきゃって思った。 ブッキーを見送ってラブ達にメールを送ると、家にいるらしいので行くことにした。 「お疲れ様」 ラブの家にあと50メートルというところでせつなが待っていた。 「ラブと二人の方が話しやすいかと思って」 「ジャージを取りに行くだけ。大丈夫みたい」 そうと言ってせつなからペットボトルを渡された。 「いらないとは言わないでよ。寂しくなるから」 「モデルは一日沢山水を飲みます」 あたしの言葉にせつなはふふっと笑った。 「一緒に帰ろっか」 「美希は皆のお姉さんみたいね」 「妹たちの心配ごとがつきなくて」 あたしが苦笑して言うとせつながたたっとあたしの前に来て 「だったら私が美希の心配はするから」 そう言った。 あたしがせつなだけラブやブッキーと接し方が違う理由がなんとなくわかった。こうやって彼女は対等に立つから。ラブやブッキーとは違う安心感をもたらしてくれるから。 「若い地球人の女の子は夜の挨拶ににゃーって言うんだよ。言ってみて」 「あの時みたいに騙されないわよ」 地球人がカエルを猫のような感覚で扱うと嘘をついたとき、せつなは嬉しそうに一匹のウシガエルを捕まえて、あたしの家に来た。可愛いいでしょうと。 あたしは絶叫してカエルを雨の降る外へ帰し、ずぶ濡れのせつなを家へ招き入れた。 「カエルより可愛いいものが見れたわ」 「いつか仕返ししてやるから」 「恩返しがいい」 二人で笑いながら夕日の沈む中を歩いた。 み-498へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1057.html
「カオルちゃ~ん!自転車のパンク直せない~!?」 「ごめんなさい…ラブったら…珍しくサイクリング行こうなんて言うから…」 「任せてよ、オジサン何でもできるからね。ほら、ここを外して…」 「ふんふん…」 「ここをこう…」 「ふんふ…ん?」 「で、こうしてこうして…」 「……」 「出来た!ほら、簡単だろ?」 「ダメだわ、カオルちゃん…複雑過ぎてラブの頭もパンクしたみたい…」 ******* 「うわ~ん!!カオルちゃ~ん!またパンクしちゃったよ~!!」 「度々ごめんなさい…カオルちゃん……」 「OKOK、チャチャっと直しちゃうから、お嬢ちゃん達はドーナツでも食べて待っててよ」 「わーい!さっすがカオルちゃん!じゃあお言葉に甘えて……パクパクパク……」 「ちょ、ちょっとラブ!」 「よし、出来た、と…。お嬢ちゃん、修理完りょ…って、ありゃ?」 「う~ん…う~ん…」 「ごめんなさい、カオルちゃん。ラブったら待ってる間に食べ過ぎて今度はお腹がパンクしちゃったみたいで…」 ******* 「カオルちゃんゴメン……自転車のパンク……その……」 「……何度もごめんなさい…」 「そんなに申し訳なさそうにしなくていいって。……と、こりゃ中のチューブごと変えなきゃダメだな。少し時間掛かるよ」 「そうなんだ……本当にゴメンね。ありがとう」 「せつなもゴメンね…まさかいきなりパンク連発するなんてついてないや」 「いいけど…でもどうしたの、ラブ?突然サイクリングに行こうだなんて…」 「うーん、色々考えたんだけど、車じゃ味気ないし、歩いて回るとそんなに遠くまで行けないしさ。自転車ならそれなりに遠出も出来るしね、あちこち見て回れるでしょ」 「え?見て回る、って?」 「ホラ、いつか平和になって、せつなはもしかしたらラビリンスに帰る事になるかも知れない。だからそれまでに、この世界の事、もっと知ってて欲しいし……。それに、自転車で走った時に感じる風や、流れる景色。そんなのも大切な思い出になるかなって…勿論、あたし達二人の大切な思い出にも、ね」 「ラブ…」 「ん?どしたの、せつな?」 「ううん…なんだかね、今度はあなたの気持ちで私の心がパンクしちゃったみたいなの…」 「わはー、参っちゃったな。それはカオルちゃんでも直せないかも…」 「ふふ、大丈夫よ。もう直ったから。ただ、ラブが……その……空気、入れてくれると嬉しいかしら……」 「え!?く、空気入れるって…そ、その態勢は……こ、こういう事かな?」 ちゅっ。 「ぷは…あんまり空気入れるとせつなホントにパンクしちゃうかも。せつなもチューブ替えることになったりして。チューが原因だけに……なんてね、グハー」 「…バカ」 「さあ、今度は大丈夫!キッチリ直したからさ」 「やったー!さっすがカオルちゃん、完璧!あたし信じてた!!」 「もう、ラブってば浮かれ過ぎよ……ありがとう、カオルちゃん」 「いいっていいって!さ、今日一日、思い切りサイクリングを楽しんでおいで!」 「うん!幸せゲットしてくるよ!」 「精一杯楽しんでくるわ!」 おしまい
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/573.html
「タッハぁ~!すごい人だったねぇ!」 時刻は午前1時をとっくに過ぎた。 それなのに町も家の中も明かりとざわめきに溢れている。 「大晦日」から「元旦」に切り替わる瞬間。一年が新しく生まれ変わる。 家族で「初詣」に行く道すがら、お父さんが教えてくれた。 夜中にみんなでお出掛けなんて初めて。 私もラブもお母さんに「風邪引かないように!」とマフラーやら ストールやらでぐるぐる巻きにされた。 神社に着くと驚くほどの人人人! 「これも日本の伝統美!!」と、ラブが鼻を膨らませて威張っていた。 「ふぅ!やっと落ち着いたねぇ。」 ラブはモコモコした防寒着を脱いで、フリースとミニスカートで 私の部屋でくつろいでいる。 クリスマスもそうだったけど、「お正月」と言うのもまた特別な行事らしい。 ラブ曰く、何でも頭に「初」か、語尾に「始め」を付けるとお正月っぽい言葉になる。 現に昔からたくさんの言葉があるらしい、「初日の出」「初笑い」「書き初め」… まだあったはずだけど。 「せーつなぁ!」 ちょいちょい、とラブが手招きして自分の隣に来るように促す。 「あっ!コラ…っ!」 途端に首筋に顔を埋め、セーターの中に手を突っ込んでくる。 「んっ、もう……!お母さん達、まだ起きてるのよ…?」 「んー?ハイハイ、だから声出さないでねー……」 「あっ…、だから!そうじゃなくて……」 パチンとフロントホックのブラが外される。 最近、やっと気が付いた。ラブは下着を買う時やたらこのタイプを薦める。 後ろに手を回すより便利だから、と言っているが…… (絶対、このためよね……) 「……ーっひぁ!」 まだ冷たさの残る指で乳首を摘まみ上げられ、せつなはビクッと 体を跳ねさせる。 指の冷たさと反比例するように、体はどんどん火照っていく。 尖り立った乳首を弾かれ続けると、足の間がむずむずしてくる。 「ひめはじめ、ひめはじめ……」 ラブは耳たぶを甘く噛みながら、謎の呪文を呟く。 「……んっ!…え、何?」 「あのねぇ、年が明けてからの初エッチ。『ひめはじめ』って言うの。」 だから、コレもお正月行事の一つなんだってば。 ラブはそう言いながら、セーターを捲り上げる。 乳首に吸い付き、熱い舌を絡ませる。 「あっ…ん!またそんな、適当な事……」 「……ホントだってばぁ…。何なら後で調べてみてよ…。」 ラブが力の抜けたせつなから素早く下着を脱がせた。 膝を開かせながら、内腿に指を滑らせる。 ここまで来ると口では抵抗しても、もうせつなは逆らうのを諦めている。 「ね……、ホントに、ダメ。お母さん達が…んんっ、んっ…!」 「うん、そんなに時間掛けないから…、一緒に…。ね?」 一緒に、イッちゃおうか……? ラブはせつなの手を自分のスカートの中に導く。 ひんやりとした太ももを辿り、対照的に熱をたぎらせた秘部に指先が触れる。 (ラブと……一緒に…) せつなもラブの下着を引き下ろし、フリースの中に手をもぐり込ませる。 小ぶりだが弾力のある乳房を揉みしだき、下は厚い粘膜に指を 飲み込ませていった。 「はふっ!ーーっン、ふぅ…んっ!」 ラブは嬌声をせつなの乳首に強く吸い付く事で抑える。 乳房に顔を押し付け、歯を立てながら先端を舌先でつつく。 指にまとわり付く秘肉を引き剥がしながら、乱暴なほと強く中を掻き回した。 せつなが歯を食いしばり、仰け反る。 (あぁっ…、ダメ、このままじゃ…!) 込み上げる快感に、胸を喘がせながらやっとの思いで口を開く。 「ーーラブっ、…キス、して……!このままじゃ…っ!」 声を抑えるなんて無理。お願いだから、口を塞いで。 情欲に潤みきったラブの瞳と視線がぶつかる。 噛み付くように唇にしゃぶりつき、舌を吸い合う。 唾液に濡れた乳首がすうすうする。ラブがそれを指に絡めるように 大きく乳房を捏ね回していった。 せつなもお返し、とばかりにラブの乳首をつねり上げる。 ギリギリ、 我慢できるくらいの強さに。 ほんの少し、快感が上回るくらいの力加減で。 「はあっ…はぁっ……んぅぅ…、ふっ…ぅ…ん…」 塞ぎ合った唇の間から漏れる吐息が抱いた、隠しきれない快楽。 淫らに濡れた音と興奮した息遣いが、しんとした部屋に響き渡る。 外は雪がちらつくほど寒いのに、額の生え際にしっとりと汗が浮かぶ。 気持ちいい…、止められない。 早く逝きたい、でも、この時が永遠に続いて欲しい。 (もう、そろそろイカなきゃ……) ラブが合図のように、せつなの膨れた陰核を弾く。 せつなも震えながら、器用にくるりとラブの突起の包皮をめくる。 お互いの一番気持ちいいところを容赦なく責め立てる。 ラブは優しく表面を磨きあげるように。 せつなは軽く摘まんでしごくように。 体が細かく痙攣し、中が小刻みに強く収縮を始める。 (あぁっーー!もうっ、……!!) (もう少し、もう少しだけーーっ!!) 「あふっ!……っくぅーーっっ!!」 せつなが大きく痙攣し、白い喉を反らせた。 ラブはせつなの胸に顔を擦り付け、叫ぶのを堪える。 二人は抱き締め合いながら、爆発し、駆け巡る快感に酔いしれた。 下着を脱ぎ、胸元をはだけた睦み合う為に最低限に乱した衣服。 それが却って羞恥と興奮を刺激し、我を忘れて乱れてしまった。 上気した頬と潤んだ瞳のまま、二人は熱っぽい額を寄せる。 「………何だか、恥ずかしい。」 「うん……、あたしも。」 軽く唇をついばみ合いながら、クスクスと照れ笑いが漏れた。 せつながぐったりと横たわる。 無防備に緩んだ膝、まだとろりと濡れた瞳。 うっとりと情事の余韻を味わうしどけない姿に、ラブの中に 愛しさが込み上げる。 「あの……、ラブ…。」 「ん?なぁに?」 少し汗ばんだ前髪を撫で付けながら、額から輪郭をなぞるように キスを落としていく。 「今年も、よろしくお願いします……。」 はにかんだ、せつなの微笑み。覚えたての台詞を初めて使ってみる。 使い方、間違ってないかしら? 「こちらこそ!」 そう、ラブは力いっぱいせつなを抱き締める。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/557.html
駅を出たところで、 強い北風に煽られる。 体が、寒さで縮む。 コートの襟を合わせ、 足早に家に向かう。 カバンの中には、 3つの包み。 会社の近くにある、専門店で 似合うものを、店員と一緒に考えた。 ざっくりとした、桃色と 赤のセーター。 そして、暖かいオレンジの 膝掛け。 今年は、プレゼントが ひとつ、多い。 プレゼントの数だけ、 渡すまでの微笑みが増える。 本当に、よく笑うようになった。 レストランで、初めて 会ったときの、彼女。 一度も笑ったことがないような ぎこちない表情。 何かを思い詰めているような瞳。 面白いことを言って盛り上げるのも 苦手な私は、情けないが娘に任せた。 相変わらず、 全力ではしゃぐラブ。 徐々に、彼女の顔から 力が抜けていく。 ドジを踏んだラブにつられて、 ふと見せた、笑顔。 また、バカなことやってるなあ。 その思いは、ラブを見て 一瞬にしてかき消された。 ラブの顔に一瞬だけ浮かんだ、 包み込むような慈愛。 この子の、笑顔が見たい。 この子の、幸せが見たい。 いつもより1オクターブほど高い、 ラブの声の裏側に、強くにじむ気持ち。 子供だと、思っていたのに。 テーブルの下で、私の左手に お母さんの右手が重ねられた。 考えていることは、同じようだ。 商店街に入る。 綺麗に飾り付けられた街並みは 見ているだけで暖かい。 「大きな荷物だね。 プレゼントかい?」 立ち寄った酒屋さんで、 話しかけられる。 「ええ、今年はちょっと奮発しました」 「いいねぇ、かわいい娘さんが ふたりだもんなぁ」 笑みが、顔から こぼれ落ちる。 シャンパンを、2本買う。 1本は、ノンアルコール。 裏道に入ると、みんなの家から いい匂いが漂ってきた。 どの家も、今日は ご馳走が並んでいるだろう。 ひときわ、いい匂いが 漂ってきた。 匂いの元を辿ると、 見慣れた家にたどり着く。 恒例の、自作イルミネーションが 光っている。 毎年、家族全員で ひとつずつ作って、飾る。 今年は、4つ。 いつもラブが作っている サンタクロースの横には、 ちょっと不格好な、雪だるま。 家の外まで、漏れている 笑い声と、お皿が触れる音。 いつか、ふたりとも成長して この家を離れることになるだろう。 でも、辛いとき、落ち込んだとき、 いつでも帰ってきていい。 ここが、ラブとせっちゃんの 帰ってくる場所。 家に入る前に、わざと 足音を響かせた。 家の中で、ばたばたと走る 音が聞こえ、ぴたりとやんだ。 わかっている。 でも、今年はいっそう 賑やかだろう。 さあ、始めよう。 「ただいま!」 私は、クラッカーのテープが 効果的に当たるように、顔から 家の中に入った。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/326.html
木枯らしが肌を掠め、ヒリヒリとした寒さを感じる日々がやって来た。 「今日は寒いね~」 「そうね、昨日よりも寒くなって来た気がするわ」 ラブとせつなは、学校帰りの道を歩いていた。 「こんな寒い日はアレに入りたくなるなあ~」 「…アレ?アレってなぁに?」 「ふっふっふ。帰ってからのお楽しみ!今日辺り、お母さん、出してる気がするんだ」 「何よ、ラブったら!勿体つけずに教えなさいよ!」 「秘密、ヒミツ~」 「コラ!待ちなさい」 「待たないよ~っだ」 ***** 「お母さんただいま~」 「お帰りなさい!ちょうど良かった。貴女たち、ちょっと居間に来て見て!」 出迎えたあゆみが、嬉しそうにふたりを居間に連れていく。 そこには、朝とは違う風景が拡がっていた。 「わあ~やったあ!」 喜んでいるラブに対し、せつなの顔はキョトンとしていたのだが、初めて見るモノへの好奇心も少しずつ湧いてくる。 なぁにコレ。まるで、布団とテーブルを足したような… 「これはね、コタツっていうんだよ!」 「コタツ…?」 せつなは怖ず怖ずと近づき、そっと触れてみる。 昼間あゆみによって天日に干された布団は、ふかふかでお日様のにおいがした。 そっと布団をめくってみる。 ほわあん… コタツの中から、温められた空気が洩れ、せつなの頬をくすぐる。 「こうやって使うんだよ」 ラブが布団の中に脚を入れる。 それを見て、せつなも同じようにしてみると、なんともいえず脚が温かい。 「コタツって…素敵なモノなのね」 「でしょ?幸せゲットだよ!」 破顔したラブにつられて、せつなまで笑顔になる。 こうしてせつなは、初めての秋に、コタツと出会ったのだった。 ***** 「夕御飯出来たわよー…ありゃ、ふたりとも寝ちゃってる。やれやれ、まったくしょうがないわね」 居間には、コタツに首まで入り込み、寄り添うように眠るふたりの姿があった。 「ただいま~。おっ!今年はうちのコタツムリは二匹に増えたな!」 「そうね」 眠るふたりを、微笑みながら見守る桃園夫婦。 窓の外には中に入れない木枯らしが、枯れ葉をいつまでも舞い踊らせていた。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/539.html
ラブside スースー 隣からせつなの寝息が聞こえる。 ……せつな今日はいつも以上にはしゃいでたもんね。 ……。 ……。 はぁ、眠れないなぁ。 「はぁ。」 あれ?あたしじゃないよ。 「…ブッキー?」 「ラブちゃん?」 「ブッキーも起きてたんだ。」 「うん、なんだか眠れなくて。」 「あたしもなんだ…ねえ、ちょっとだけベランダでおしゃべりしよっか。」 「そうだね。…ここだと美希ちゃん達起きるかもしれないものね。」 「それじゃぁ、そ~っとそ~っと。」 あたしとブッキーは上着を着てベランダへ移動した。 今日はほんとに楽しかった。 クリスマスパーティ、プレゼント交換、トランプ遊び、まくら投げ…それから他にも沢山…。 「今日は楽しかったねラブちゃん。」 「そうだね。」 「…ラブちゃんのトナカイ、可愛かったよ。特に赤いお鼻が、ふふ。」 「あ~ブッキーってそういうこと言う子だったんだ~。ひどいな~。」 笑いながらそう言い返した。 「ふふ。」 「あはは。あぁ~あ、それにしても、結局クリスマスパーティが始まってから最後のプレゼント交換まで 皆ずっとあの恰好のままだったね。」 「本当は美希ちゃんとせつなちゃんだけの予定だったのにね。」 「そうだよ、それなのにあたし達まで……まさかブルンを使うとはとは思わなかったよ…計画失敗だね。」 「う~ん、失敗とまではいかないような。でも成功とも言えないから…半分半分かな?」 「あはは、そうかも。」 「…ところでラブちゃん?」 「何?」 「どうやって美希ちゃんを説得したの?」 「えっとそれは…秘密。」 「え~、教えてくれないの?」 「あはは。」 流石に言えないよ。あたしを好きにして良いって言ったなんて…。 「そういうブッキーは?」 「わたし?わたしは普通にお願いしたよ。そしたら変身してくれたよ。」 「あ~せつな、ブッキーに甘いもんね~。」 「そう…かな?」 「そうだよ。」 えぇ、そりゃもう。あたしや美希たんが呆れるくらい。 「…それにしても二人がコソコソしてた理由がこれだったなんてね。」 あたし達はそれぞれ自分の小指を見る。 あたしは右手、ブッキーは左手を。 シルバーのピンキーリング。 美希たんとせつなからのクリスマスプレゼントだ。 指の背で曲がったラインの先に四葉のクローバーが、そしてもう片方には、小さな宝石が付いている。 あたしは青、ブッキーは赤。 「ふふ、四人お揃いだね。」 ブッキーが嬉しそうに呟いた。 「ふぁぁ~あ。」 あ、しまった。 「ラブちゃん?」 おしゃべりしてたら段々眠たくなってきた。 「っと、ごめん。……ブッキーそろそろ中に入ろうか。」 「そうだね。」 あたしは閉めていた窓に手を伸ばす。 でも、ふとあること思いつきその手を止めた。 「ねえブッキー?」 「何?ラブちゃん?」 「今更だけどさ…場所……交代しない?」 「…いいよ。」 あたし達は二人を起こさないように静かに部屋の中へ入った。 そして、あたしは美希たんの、ブッキーはせつなの隣に移動する。 「美希たんとせつなびっくりするかな?」 「するんじゃないかな。」 あはっ、ちょっと楽しみ。 「おやすみブッキー。」 「おやすみなさいラブちゃん。」 ブッキーside 目に映っているものは天井。 「……。」 眠れない。 「…ラブちゃん?」 ベットに目を遣りラブちゃんに声をかけてみる。 スースー もう眠ってしまったみたい。ベランダであくびしてたものね。 ちらり 今度はせつなちゃんの方を見る。 せつなちゃんの後頭部が見える。 ドキドキ 眠れないのはせつなちゃんのせいだろうか。 「んっ。」 わっ! せつなちゃんが寝がえりを打った。顔と身体がこちら側に向いた。 ドキドキ ドキドキする、その……キスはもう何度もしているけどこんなに近くで一緒に眠ったことはまだなかった。 ……キス…かぁ。 ちらりとベットの方を見る。ラブちゃん達眠ってるよね。 わたしはそっとせつなちゃんの布団に潜り込んだ。 そして眠っているせつなちゃんに近づいた。 チュッ ほっぺにキス。 いつもせつなちゃんからだからたまには…ね。 「う…ん、いの…り?」 せつなちゃんが目を開けた。 しまった!起こした? ギュッ えっ。 せつなちゃんの腕がわたしの背中にまわる。 「…せつなちゃん?」 スースー …寝ぼけてたのかな? ドキドキする……でも…あったかい。 わたしはせつなちゃんの胸にすり寄る。 「おやすみなさい、せつなちゃん。」 そう言ってわたしは目を閉じた。 美希side ツン ツン ツンツン …何?なんだかつつかれているような。 あたしは目を開けた。 「あ、起きた。おはよう、美希たん。」 ……なぜ隣にラブが?しかも同じ布団に……。確かブッキーが隣じゃなかったかしら? 「どうしてラブが!『シーッ!』 ? 首を伸ばしラブが指差す方を見る。 …なるほどね。 二人はまだ夢の中…か。 「大声出しちゃいけないことはわかったわ。」 あたしは小声でラブに話しかける。 「でもどうしてラブが隣に?」 「あはは………まあいいじゃん。」 「そんなことより昨日は楽しかったね、美希たん。」 「そうね。」 「それからコレありがとう。」 そう言ってラブは右手の小指にはめているリングをあたしにみせた。 「喜んでもらえてよかったわ。」 「でも心配したんだからね。」 「心配?」 「せつなとコソコソしてたから、もしかしたらって…。」 「せつなとあたしが?……ふふっ。」 「美希たん?」 「そんな心配するだけ無駄よ。だってほら。」 あたしは左手の小指を立てた。 そして、リングについている宝石をラブにみせる。 「あたしはラブの色、せつなはブッキーの色よ。この意味……わかる?」 「……美希たんは…あたしが好きで、せつなはブッキーが…好き?」 「そういうこと。だから不安にならなくていいのよ。」 「うん。」 ギュッ 安心したのかラブがあたしに抱きついた。 ……もうラブったら。 「……そういえばラブ……今度あたしの好きにして良いって言ったわよね。」 「えっ、言ったけど……はっ…まさか…。」 「うふふ。」 「ダ、ダメだよ美希たん、だって隣にせつなとブッキーがいるのに。」 「そうね~、声出すと起きちゃうかもね。」 「そうだよ、だから『だ・か・ら……声、だしちゃダメだからね。』 「えっ。」 「ちょっ…と、まっ…美希たん。」 「昨日散々笑ったものね、覚悟しなさい。」 「まだ根に持ってるの~。そんな~。」 「…ほら、ここは?」 「っ…ゃぁ…あっ。」 「ゃっ、美希ぃ…っ…だめっ。」 「ふふ、静かにしないと、せつな達起きちゃうわよ。」 ん? 微かに赤い光が見えた。 ……アカルン? …せつな、起きてたのね。 「…んっ。美希ぃ。」 潤んだ瞳であたしを見ているラブ。 ちょっと苛めすぎちゃったかしら…。 「ラブ、声…出しても良いわよ。」 「ハァハァ…でも…。」 「大丈夫よ、せつな達部屋にいないから。」 「えっ。」 あたしは中途半端に脱げていたラブのパジャマに手をかける。 「どうやら気を利かせてくれたみたいよ。」 「そ…れって…。」 「思う存分やれってことじゃないかしら?」 あたしも邪魔なパジャマを脱ぎさる。 そしてラブに口づける。 「んっ…んんっ…」 深く、激しく互いの舌を絡めあう。 「んっ、美希っ」 …ラブ。 「っはぁ…ラブっ、ラブっ。」 お互いもっともっとと求めあう。 右手と左手のリングが幾度も重り、そして離れた―――― せつなside …いったい何なの…この状況は。 確か昨日は、私、ラブ、そしてラブのベットに祈里、美希が眠っていたはずなのに… …なぜ?……どして? ……どうして腕の中に祈里が? ガタッ 「ゃっ、美希ぃ…っ…だめっ。」 そして、ラブ達は何をやってるのよ! 「ふふ、静かにしないと、せつな達起きちゃうわよ。」 もう起きてるわよ! ハァ ……まったく美希ったら。 ここにいたら眠れそうにないわ…。 私は布団をかぶった。そしてほんの少しだけ頭をだし光が僅かに漏れるようにする。 今の美希ならこれで気づくでしょう……。 「…アカルンお願い。…私の部屋へ。」 ヒュン アカルンを使って私の部屋の布団へと移動した。 …これでよし。 「ごめんねアカルン、今日はこんなことばかりに使って。」 「キィー。」 気にしないでと言っている。 「ありがとうアカルン。」 「キィー」 でもほどほどに…ですって。 「ふふ、わかってるわアカルン。…おやすみなさい。」 「キィ~。」 おやすみなさい…そう言うとアカルンはリンクルンに戻っていった。 「んっ。」 祈里が小さな体を更に小さく丸めた。 寒いのだろうか? そういえば、さっき布団に入ったばかりだからシーツも布団もまだひんやりとしている。 ギュッ 私は祈里を抱く腕に力を込めた。 こうすれば少しは温かいだろう。 それにしても、ラブも美希も時と場所を考えてほしいわ…まったく。 …でもそんなラブと美希の関係が本当は少し羨ましい。 私も祈里にもっと触れたい触れられたい…と、そう思う時がある。 でも… 祈里の髪をそっと撫でる。 「んっ、……せつ…なちゃん。」 ふっ。 顔がほころぶ。 そう、…なにも焦る必要はない。 ラブ達にはラブ達の、私達には私達の進み方がある。 私達は私達のペースでゆっくりと進んでいけばいい。 チュッ おでこにキスを落とす。 「おやすみなさい、祈里。」 そして私は腕の中の温もりを感じながら再び眠りについた。 【終】
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/759.html
美希「♪~♪~♪」 せつな「ご機嫌ね美希。何か良い事でもあったの?」 美希「だってGWなのよ。たまには羽を伸ばさないと」 せつな(・・・。エンジェル化するの?どして?もう戦わなくてもいいのよ、私たち・・・) 美希「せつな?難しい顔してるけど具合でも悪いの?」 せつな「美希は逃げて!ここは私が時間を稼ぐから!」 美希「は???」 せつな(おかしいと思ったのよ。こんなに休みが続くなんて。きっと新しい敵の仕業なんだわ・・・) 美希「あ、せつなー。クレープ屋さんあるわよー。こっちこっち~」 せつな(甘い物なんて普段食べないのに。きっと罠なんだわ!私が助けるしか・・・) 祈里「さっきから何やってるの、二人とも・・・」 ラブ「頭いたー」 こうして美希とせつなのデートには必ず、ラブと祈里が心配そうに物陰で観察してるのであった。 せつな「お、美味しいわ!」 美希「最初から素直に食べなさいよね」